« 気になるうぃる | トップページ | だったんじん! »

2011年5月 8日 (日)

最後の女神・上

一番最後に見た夢だけを人は覚えているのだろうか。

幼い日に見た夢を思い出してみないか。

「ライン、こんなところにいたの。もうすぐワープ圏に入るから部屋に戻りなさい?」

「あぁ、母さん…。ここを過ぎたらもう地球は見れなくなるんだろ?だったらもう少しここにいたいんだ。」

~最後の女神~

―西暦3031年、ステラ地区。2本の川に挟まれた肥沃な土地には自然が溢れ、子供たちの遊び場としては最高の立地だった。

「ティア!こっちこっち!早く!!」

「あーん、速いよライン~待ってぇ~!」

「ほら、ついた。ここが星渡りの丘だよ!」

そこには名に響きに恥じぬ美しい風景が広がっていた。眼下に広がる伝統息づくステラの街と中央に威風堂々と聳える大聖堂。そしてそれを取り囲む中世に建てられた城壁と地を這うが如くうねるメテオ川にネビュラ川。それ以外はひたすらに草原と森林と青空ばかりがある。

「…素敵」

圧倒されたティアは蚊の鳴くような声をやっと絞りだした。

「だろ?いい眺めだよな!でもここは昼間より夕方の方が綺麗なんだぜ!街が太陽に飲まれて燃えてる見たいに真っ赤になるんだぜ!んで夕日を窓側反射してキラキラ光るんだ!…そして最高なのが夜。まるで星の神殿みたいだぞ…!教科書の比じゃないだ!」

2895年に国際連合で環境と景観の向上のために定めた規約により、工場・研究所といった工業的な人工物がおよそ全て地下空洞に移されて以降というものの、このステラ地区のような昔の面影を残す街では人工的な明かりが減って、肉眼で五等星ぐらいまでは見えるようになった。それから、人類が行く行くは他の惑星に行き、その土地を産業の拠点とする可能性も加味して、学校では積極的に天文学を講義するようになったのだった。

「天体観測…してみたいなぁ、ここで。」

「え?すればいいじゃん」

「ダメだよ。だって夜にこんなところまで来るのは危ないって親に止められちゃうよ。」

「おれがさ、連れ出してやるよ!」

「え、でも、ライン…」

「月が沈んで親の寝静まった夜の2時でどうだ?」

「いや、そんなことしちゃ…」

「だって行きたいんだろ?綺麗だぞ?」

「…うん」

「なら決まりだ決まり!じゃあ今夜な!携帯ならすから、なったら出てこいよ!じゃな!」

小型の天体望遠鏡、星座早見盤、スケッチブック、筆記用具…えっと…持ち物こんなもんでいいかな?

『ピリリリ♪ピリリリ♪』

窓から下を見下ろすとラインが大きく手を振っている。誰も起こさぬようそろそろと階段を降りると、ティアは勝手口から出て鍵を閉めた。

興奮と期待に胸騒ぎの止まらぬ二人は城門をくぐり、草原に出て、歩いて歩いて歩いた。
木々のカーテンが開くと星渡りの丘の地平から無数の星達が登る。どっぷりと光の散りばめられた闇夜に包まれて、ティアは不思議な安堵感に溺れてしまいそうな気がした。

「その辺に座ろうぜ。」

視界の開けたところに腰を下ろすと、地面ついた手のひらから冷たく心地よい草の感触が伝わってくる。
目線をあげて良く良く見ると、はっきり天の川が見えるではないか。そして一際輝くデネブ、ベガ、アルタイルにアンタレス。

「ほら、軽食持ってきたんだ!食わないか?」

「えっいいの?ありがと!」

サンドイッチを頬張りながらティアはいそいそと望遠鏡を取り出した。

「おい、恒星はそれでみても変わらないぞ?」

「いいの!土星見るんだもん!」

「お、いいな!後でおれにも見せてくれよ!」

「後でね」

レンズを覗き込むと見慣れた模様つきのあの球体とリングが見えた。非常に慣れ親しんだ、でもちょっと行こうと思って行けない微妙なこの距離感はティアにとってもどかしかった。いつかお金をためて、二人でロケットに乗って星巡りをしようというラインとの約束がぼんやりと頭を横切る。

丁度その時だった。

夏の大三角形の中央に見たことのない光が、それも相当眩い光が現れた。

「・・・・?何あれ・・・?変光星・・・・?」

「え?どれどれ?」

「ほら三角形の丁度重心のあたりに・・・ねぇ・・・なんか大きくなってない・・・・?」

「・・・・なんだあれ・・・?」

二人が呆然と見遣っているとチラチラとあちこちから星が流れ始め、やがて凄まじい数の流星が降ってきた。神秘的な光景と言うよりは寧ろ悍ましく美しい光景だった。創世記にあるソドムとゴモラを焼いた空の火はこのようなものだったのかも知れない。土砂降りの流星のなか、あの星が一際明るく輝くと一筋の光が放たれ、電車がホームに入ってくるかのように丘のある場所を照した。

やがてあの星が消え、流星がなくなっても、光を受けたその場所は地面に光の波紋を広げながらぼんやり輝いていた。

「今の…すごかったな…」

「…うん…」

小刻みに震えるティアの手を握り、ラインは暫く光る地面を眺めていた。

「なぁあの土だけなんでまだ光ってんのかなぁ?」

「さ、さぁ…。」

「変なことしないほうがいいかな。…帰ろうか?」

「うん…。」

 

 

そして翌日ラインが目覚めてリビングに降りると家が何処と無くいつもと違う緊張感に満たされ、母親がバタバタと何かの荷仕度をしていた。ふとつきっぱなしのテレビを見ると、土曜の朝の和やかな番組の代わりに緊急のニュースが放映されているではないか。

『天文省より緊急避難勧告がなされました。本日未明、シヴァ彗星の軌跡への接近に伴う流星群が確認され、約一週間の後に彗星と衝突する危険性が極めて高いとのことです。天文省の適合判定ゲートをくぐり許可証を受け取って、速やかに脱出ロケットに乗り込んで下さい。これは訓練ではありません。繰り返します、天文省より緊急避難勧告がなされました。』

昨日の出来事が理解出来たと共に、ラインはことの重大さに気がついた。シヴァ彗星との衝突?冗談じゃない!一体どれだけ大きな天体だと思ってるんだ!

「母さんこれ!」

「やっと起きたのね、ライン。ほらあんたも早く地球を発つ準備をなさい!」

「え、あぁ、うん。あ、ねぇ、この適合者なんたらって何…?」

「あぁ気にしなくて良いわよ。シヴァ彗星は目標物に向かって進む性質があるから、その目標物に選ばれた人間、つまり"器"はロケットに乗れないの。でも器は星渡りの時に彗星の光が指し示した場所に最も近かった1人がなるから、街にいた私たちには関係ないわ。」

それを聞きラインは嫌な胸騒ぎを感じ、サッと血の気が引くのを感じた。

「乗れないって…それ見捨てるってこと…?」

「仕方ないわ。大勢の命の為の匿名の1人の犠牲は必要不可欠なのよ。さ、とりあえず先ずは検査を受けて通行証を貰いましょ。」

「うん…。」

ラインは頭が真っ白だった。母さんに本当のことは言えない。あの時一番近かった人が器?もうわかりきってるじゃないか!重い足を引き摺って検査ゲートへ向かった。

「金属類は持ってませんか?このゲートをくぐるだけで大丈夫です。はい、オッケーです!許可証渡しますね!」

ホッと一息ついたのもつかの間、ラインは自分が器で無いことが何を意味するのかすぐに悟った。違っていてくれ…!絶望的に起こり得ないであろう希望的観測を胸にラインはティアの元へ走った。

つづく

びっくりするぐらい地名星押しでさーせんww

ステラ:星
メテオ:流星
ネビュラ:星雲

極め付けに星渡りの丘とかね、もうね。うん。

流石に人物名は星にしなかったよ!!スピカちゃんシリウス君とか狙いすぎてるしね!!

まぁこの先歌詞的にロケット展開ですし?地名ぐらいなら星押しでもいいんじゃない?

んでですねー更新むっちゃ重いよこのSFファンタジーもどきみたいな小説orz

内容が濃くなるといくら一度書いたことがあるといえども構成考えるのが難しいもので。。

なのに!字数が!稼ぎにくい!!

このあと下を書くの地味に億劫www

あ、二人の年齢設定の方ですがね、想像に任せます。ていうかこの町のモデルとか、この丘のモデルもあるけど、勝手に想像した方が綺麗で親しみやすい風景が出てくるだろうし名前あげなくていいよね。

おい!ばる子!そっちのも早く読みたいぞ!

|

« 気になるうぃる | トップページ | だったんじん! »

小説」カテゴリの記事

コメント

最後の女神\(^p^)/ktkrheart01

続きが地味に気になるお(´・ω・`)!
歌詞から予想してみてる\(^-^)/

投稿: みき | 2011年5月 8日 (日) 18時07分

好きな展開考えといてくれ(笑)

投稿: らっこ | 2011年5月 8日 (日) 18時27分

妄想したら素敵な鬱展開に
なりまひた\(^p^)/heart01heart01

とゆか今日貴重な自習時間
奪ってごめんだお(´・ω・`)!
駄弁り楽しかった\(^-^)/shine
暇な私とたまには遊んでくれよ←

投稿: みき | 2011年5月 8日 (日) 19時36分

歌詞的に致し方無いな!


また暇が出来れば(〇´3`)ノ

投稿: らっこ | 2011年5月 8日 (日) 20時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/503661/39811166

この記事へのトラックバック一覧です: 最後の女神・上:

« 気になるうぃる | トップページ | だったんじん! »